『きえる快速車』は、久米みのる原作・藤子不二雄作画(合作)による日本のカーアクション漫画。
ゼロ戦の技術で作られたエンゼル号が、世界の強豪たちとレースで競ったり、悪人と戦ったりする作品で、1963年(昭和38年)に週刊少年マガジンに連載された。
2人で1人の漫画家、藤子不二雄の初期の傑作の一つ。
安孫子がメインで執筆しているが、藤本も数多くのキャラクターを作画担当し、藤本がほぼ描いているページも存在するなど、藤子不二雄の合作の中では分担比率の偏りが少ない部類に入る。
安孫子作画の勇ましい少年に、藤本作画の美しい少女が抱きつく場面等を見られる稀有な作品。
藤子のコンビ解消後は、権利の都合上藤子不二雄Ⓐ(安孫子素雄)作品として扱われている。
合作作品としての認知度が低く、合作比率が高い割に、語られる機会は決して多くない。
「藤子不二雄Ⓐデジタルセレクション」の『きえる快速車』全2巻で読むことができる。扉を除く漫画本編の総ページ数は223ページ。
原作者として久米みのるがクレジットされているが、元々の小説等があったわけではなく、藤子不二雄の連載漫画用に原作が執筆されている。
このことは藤子不二雄の著書『まんが きみもまんががかける!《入門編》』(若木書房1976年)に詳しく、P.187では「原作つき漫画」の例として『きえる快速車』の原作の原稿(マス目の原稿用紙に執筆されている)が紹介されている。それによると、エンゼル号の初登場シーンは「全身が、銀色の車体が、照明で一段と輝いている。今まで、見たことのない、どくとくのスタイル!!」とだけ書かれており、藤子はそれに対し「マンガではそれをハッキリと絵にしなければならない」と述べている。また、すべての場面が原作に記されていたわけではない(例えば作品冒頭で零太郎の妹が熱海清に賞状を渡すギャグシーンは、熱海清のキャラクターを読者に印象づけるために藤子が追加した場面である)ことが語られている。
登場人物
※人物名の後ろのアルファベットは「A:安孫子素雄」「F:藤本弘」が作画を担当していることを表す。
坂口零太郎(れいたろう) - A
エンゼル号のパイロット(ドライバー)。主人公。
熱海清(あつみ きよし) - F
零太郎と行動を共にする相棒。坂口技師の助手として登場するが、後に本田宗一郎からサラリーをもらう立場となる。名前からモデルは渥美清と考えられる(藤本は『男はつらいよ』のファンとしても知られる)。一部の回では安孫子が作画している。
坂口技師 - A
零太郎の父。エンゼル号を開発した。
坂口の妻 - F
零太郎の母。エンゼル号の完成を、夫と手を握り合って喜ぶ。
坂口の娘 - F
零太郎の妹。熱海とも仲の良い明るい少女。父のことを「おとうさま」と呼んだり「パパ」と呼んだりする。
本田宗一郎 - A
本田モーター社長。
本田富士子 - F
本田宗一郎の娘。本作のヒロイン。クレオパトラと見まごうような美麗なショーパフォーマンスを披露する。
レーサー学校の先輩3人組 - F
新入りの零太郎に腹を立て、レースで勝負することになる。
力道山 - F
熱海清が20人(実際に描画されているのは14人)の姿を思い描いた実在のプロレスラー。日本プロレスの父。
ビル - A
「スピードの悪魔」とおそれられている選手。後に出てくるスピードの悪魔とは無関係。
青山技師 - A
本田宗一郎の片腕。エンゼル号を消えるように改造する。
廊下の見はり - F
丸眼鏡の男。
飛び降り自殺の野次馬 - F
熱海清が飛び降りてすぐ駆け寄ってくる地獄耳の持ち主たち。
原田 - A
警視庁機動警ら隊長。
両親のない子どもたち - F
サーキットに招待され、富士子や零太郎が披露したショーに歓声を送る。
スピードの悪魔のボス - A
設計図を狙って富士子を連れ去る。
警官たち - F
スピードの悪魔一味と銃撃戦を行う。
インデアナポリスの自動車レースに参加しているメーカーの男 - A
部品を買い占めて本田チームの邪魔をする。「本田ニ勝タスナ」が合言葉。
インデアナポリスに住む日本人家族 - A
70歳のおじいさんがエンゼル号に触りたいと望む。
藤子不二雄と似た観客 - A
喧嘩をしつつ日本を応援する。
出典: Wikipedia