
光に向かいし花のごとく 6巻
単行本サイズとしての5巻目。「黒光の章 後編」にあたり、全体の第十一話と最終話にあたる第十二話を収録したものです。 新宿中村屋のパン屋が、いつしか芸術家や作家、大学教授に新聞記者等、様々な人々の集まる場所…いわゆる「中村屋サロン」を形成し始めた頃。その中心は荻原碌山を慕って集まった画家や彫刻家たちで彩られていた。中でも碌山が建てた柳敬介のアトリエには柳が結婚で出て行ってから、画家の中村彝が住み始めた。彼は中村屋夫婦の長女、相馬俊子の若さに魅かれ、彼女をモデルにして絵を描き続け、そして相馬夫妻に俊子との結婚を申し出るも、肺病持ちを理由に黒光から断られてしまう。その後そのアトリエには夫の愛蔵がふとしたきっかけで、英国から追われているボースという独立運動家のインド人、ラス・ビハリ・ボース氏を匿うことになる。その間にも黒光の回りでは、四女の哲子が1歳になったばかりで亡くなり、その後を追うかのように友人で黒光に思いを寄せていた哲学者の桂井が亡くなってしまう。混乱する黒光だった…。 続きを読む