
光に向かいし花のごとく 12巻
発売日: 2021-06-29
新宿中村屋を創業した夫婦、相馬愛蔵とその妻・相馬黒光。宮城県仙台市の藩士の儒者・星雄記を祖父に持ち廃藩置県の4年後に生まれた星 良…のちに結婚して相馬良となり、愛蔵の故郷、安曇野郡東穂高から上京し、夫婦で本郷でパン屋を開業する傍ら、夫婦ともに文筆活動もしながら、明治、大正、昭和と続く時代の中で、様々な芸術家…画家、彫刻家、文筆家、舞台俳優などと交流し、彼らを様々な形で支援し、後に「中村屋サロン」と呼ばれた日本近代文化の一役を担うこととなる。 最後の「黒光の章」は良が文筆業として使った筆名・相馬黒光として、中村屋サロンに関わった人々と、時代の流れに流されながらも、時に立ち向かい時に打ちのめされて、それでも夫婦の絆を紡ぎながら堂々と生きていく様を描いていく。最終話になるこの回は、前回で印度人の独立運動家であるラス・ビハリ・ボースとの結婚を決心した長女、俊子。その行く末を案じる黒光は、娘が本心から結婚を望んだものかが気にかかっていた。自分達が知らず知らずののうちに結婚を娘に強いていたのでは…?という疑念と俊子は本当は中村彝を忘れられないのでは?その結婚を破談にしたのは母親である黒光なのだから…。そうした中で中村屋のアトリエにはまたも新しい人物、ロシア人の盲目詩人、ワシリー・エロシェンコが滞留することになる…。 続きを読む